豪州游記

シドニーでワーキングホリデー

shochu

 日本食レストランで久しぶりに焼酎を飲むと大いに酔っ払い、電車の窓際席でウトウトと微睡みガラスに頭をぶつけて目を覚ます工程を20回ほど繰り返したところで最寄り駅に着きました。

 スーパーに寄ると、オレオを1パック買ってポリポリ食べながら家に帰りました。

 すぐさまフライパンと鍋を取り出しました。まず鍋に水をはり、ラーメン用に沸かし始めます。その間に和牛を一口サイズに切り、玉ねぎはみじん切りにします。刃先を固定して中心とし、刃尻を半円を描くように少しずつ動かしながら玉ねぎを刻んでいく感覚は残忍かつアイロニックでたまりません。これらを混ぜたものを炒めます。その間沸いた湯の中にインスタントラーメンを投入します。炒めもののかたわら、麺をたまにほぐしておきます。よき頃合いを見計らって、鍋に卵を入れて蓋をしてしまいます。あとは火力と吹きこぼれに注意です。卵が半熟に煮えたのを確認して、粉末スープを軽く溶いておいた丼に入れてしまいます。卵が崩れないように軽く混ぜて、塩のみで味付けした炒めものを載せます。肉と玉ねぎと卵入りの味噌ラーメンが完成しました。作り終わったとき、僕は気付きました。「いらないな」

 それでも半分ほど食べて、ヌードルに対するヘイトが充分に増幅したところで、僕は途方に暮れてしまいました。「どうしたらいいんだろう」

 キッチンに流すとキッチンが詰まってしまいます。スーパーのビニール袋に注いでみました。下からボタボタ垂れています。「嘘だと言ってくれ」もう一袋追加し、二重にしてみました。まだ垂れています。「嘘だと言ってくれ」三重でも心許なく、四重でようやく安心を勝ち取ることができました。

 酔った時特有の夢ばかりみる浅い眠りから時々覚めてトイレに行き、また浅く眠るを繰り返していたら朝になりました。昨日スーパーに寄ったのに朝食を買っていないのに気づきました。仕方なく空腹のまま仕事に向かうため家を出ると、早朝の通りを白人の自転車集団が通って行きました。一人がこう叫んでいます。

 「なんでこんなファッキンモーニングからこいつらとファッキンサイクリングしなきゃいけねえんだよ」

 日本は今寒いのかな、と私は思いました。