豪州游記

シドニーでワーキングホリデー

movie

「週末は何してたんだ?」

「ん~…特に何も…。家で映画を観てましたね。」

「ほう、なんの映画だ?」

 先月まで通っていた語学学校の担任は、映画好きな人でした。僕が観た映画は北野武ソナチネでした。さすがに日本映画は知らないだろうと思い、曖昧に「日本の監督タケシ・キタノの映画ですよ」と答えておくことにしました。

 ポーランドの血が入っているらしいこの担任は、威圧感のある細長い顔でニヤリと笑い、流暢な英語でまくしたててきました。

「タケシ・キタノか。もちろん知っているぞ。俺は座頭市を観た。ブラインド・ソードマンの話だな。最近だとゴースト・イン・ザ・シェルにも出ていただろう。あれは日本のアニメが原作なんだよな。で、何を観たんだ?ソナチネ?それはまだ観ていないな。面白いのか?ファンタスティック!」

 アイスチョコレート(日本ではココアと呼ぶ)を一口飲んだ彼は、真っ直ぐに私の目を見つめ、断言するように言いました。

「だが、やはりアキラ・クロサワが最高だ」

 おたくが趣味の話で早口になるのは、どこの国でも変わらない…